1204:トレーディングポストのセミブローグ

日本靴の頑強さを試してみたくて購入。Trading Postプロデュース、セントラル靴製の内羽根セミブローグ、1204。

トレポ

Trading Postは全国に店舗を展開している高級靴の販売店。英国靴ではクロケット&ジョーンズやトリッカーズの取り扱いが豊富なイメージ。そして、トレポの目玉のひとつがこのTrading Post名義の日本靴。製造は浅草にあるセントラル靴で、正確無比なカッチリとした仕上がりが特徴。社名の読みは「くつ」が濁らない「セントラルくつ」なので注意。セントラル靴は三陽山長の靴を作っていることで有名でB2Bのイメージが強いが、自身の名を冠したブランド「CENTRAL」をワールドフットウェアギャラリーで展開している。

あとセントラル靴と言えば、工程毎に職人を分けず、一人の職人が一足丸ごとをつくるベンチメイドを採用しているのが特徴。靴の中に誰が作ったか名前が書いてあったりしたら面白いんだけどなあ。

1204インサイド

  • メーカー:Trading Post
  • モデル:1204
  • ラスト:N37
  • サイズ:9.5
  • カラー:black
  • ソール:レザーソール
  • スタイル:オックスフォード セミブローグ ラウンドトゥ
  • 購入価格:4.5k

フィッティング

Trading Postのラストは二種類ある。N37がラウンドトゥで、N38がスクエアトゥ。どちらもド定番といった印象の、良くも悪くも固い雰囲気の木型だ。

私の場合フィッティングの話はすぐ踵の話題になってしまうのだが、トレポのラストはどうも踵が緩い。日本の靴メーカーは日本人の足に合わせてもっと踵を小さくした方がいいんじゃないかと思うんだけど、大半の消費者はゆるゆるな踵が好きってことなんだろうか。というかフィッティングに失敗したのか全体的に緩いので、Bamaのシープレザーのインソールを入れて履いている。

1204ヒール

失敗と言っても店が悪いわけではない。ラインナップは5から11まである。しかもヒールカップ自体は綺麗に絞りこまれていて、足にフィットするようになっている。ここまでしてもらってイマイチだったということは、サイズの問題ではなくラスト自体が私の足に合わなかったのだ。

それと購入時に、シューツリーもくださいと言ったら、Trading Postのロゴ入りシューツリーが出てきた。この靴専用ではないだろうけども、ちゃんとそういうのもあるんだなと感心。

ディテール

1204上から

ピンキングがないのがこのセミブローグの特徴。ピンキング(pinking)というのは革の縁のギザギザのことで、これがあるとよりカジュアルな、インフォーマルな靴になる。余談だがpinkとは「波形に切る」や「穴飾りを付ける」を意味する英語で、桃色のことではない。よく音が入れ替わってピンギングやギンピングに間違われるが、ピンギング(pinging)は「ping!(ビシッ!)という音を出すこと」、ギンピング(gimping)は「足を引きずって歩くこと」なってしまうのでぜんぜん意味が違う。(他にはヘアピンレース(糸で作ったレースの飾り)のことをgimpingということもあるよう。)

コバ

もう一つコバの形にも特徴がある。トゥのコバが張り出していない。そこだけアッパーの下に隠れるようになっていて、チャーチのchetwyndなんかと比べるとスッキリして見える。もしかしたらこの個体がそうなってしまってるだけかもしれないけど…。

1204アウトサイド

コバ周りは非常にシンプル。フマズ丸だが、平の部分はほんとに平ら。個人的には工業製品然としていてあまり好みではない。 それでも出し縫いの間隔が狭ければ見栄えがよろしいのだと思うけど、そこまで攻めた靴ではないのでウィールで目付けされていないと大雑把な印象を受けてしまう。

アイレット

1204アイレット

レースステイは細身な印象。5つのアイレットは末広がりで止めは閂。シューレースはシンプルな丸紐。

革質

1204シワ

革は自分の好みから見ればいまいち。毛穴が気になる。とは言っても価格との釣り合いを考えれば文句はない。どっしり構えた重厚な革で、一週間連続で履いても耐えてみせます、といった雰囲気の革と言えば伝わるだろうか。

ソール

1204ソール

ソールはレザーのオープンチャネルで黒一色。トップピースにはTrading Postのロゴが刻まれた、独特の形状のラバーが入っている。

雨の日用のつもりで購入したのでハーフラバーを張っている。トゥスチールはつけていない。トゥスチールをつけないで履いたらつま先がどうなるか試してみたかったからだ。結果しては誰もが知っているとおり、「革よりは削れないけどスチールよりは削れる」という面白くないところに落ち着いた。しかも、トゥスチールがない場合よりつま先のハーフラバーが剥がれやすいという悪いおまけ付き。この靴で実践して学んだ結果を活かし、これ以外の靴はすべてトゥスチールをつけている。

最後に

1204

自分の好みじゃない点を並べてしまいはしたけど、全体のカッチリとした雰囲気は好印象。新社会人が高級紳士靴一足目として購入するにはちょうどいい、高い品質を持った靴じゃないだろうか。イマドキなわけでもなく、上司から文句を言われることはまずない。この靴で基本を学んでステップアップしていく(=沼にハマっていく)のは大いにアリな選択肢。雨の日でもガシガシ履いていきたい一足。