宮城興業でスエードのクォーターブローグをオーダー

宮城興業はパターンオーダーを全国に展開している靴メーカーだ。名前は宮城だけど所在地は山形なので注意。下請けで靴の製造を行っている会社だが、2004年から全国の取扱店でパターンオーダーを請け負っている。謹製誂靴(きんせいあつらえくつ?きんせいちょうか?)と名付けられたパターンオーダーシステムは価格の割に自由度が高く、細かいオプションを指定できるのが嬉しい。低価格と言っても取扱店が独自に値付けをするので一概にいくらとはいえないが、一足4万円前後だろう。

オーダーの流れ

靴のデザイン

まずは靴の形を選ぶ。ラストはラウンドトゥ(エッグトゥ)のES、スクエアトゥ(チゼルトゥ)のCS、オールデンを模したMD(ミヤギデン)の3種類。ESは英国靴、CSはイタリア靴、MDはオールデンと思っておけばだいたいOK。ESとCSはある程度互換性があり、サンプルがCSの靴をESで作ってもらうこともできる。MDは特殊なのでデザインは専用。

ES-06アウトサイド

今回は「ES-06 彦」という名前のセミブローグを選択。ただ、つま先のメダリオンを省いてもらい、クォーターブローグにしてもらった。省く分にはオプション代はかからない。

宮城興業のブログではさまざまなオーダー例を紹介していて、見ているだけでの楽しい。

革の選択

革は非常に選択肢が多く、スムースレザー、スエード、オイルドレザー、型押し等が様々なカラーから選べる。オプションとしてアノネイのスムースレザーや、在庫があればエキゾチックレザーの対応もできるそう。また、コンビネーションも可能。今回は雨の日に履けるラバーソールのスエードと元々決めていたので、スエードのダークブラウンに決定。ステッチの色も選択できるが、今回はレザーに合わせてブラウンを選択した。

革の質は巷で言われているとおり、そんなにいいものではないと感じている。スムースレザーは店頭で触っただけなので強いことは言えないが、スエードには手触りがザラついているし、毛並みがなかなか揃わない。クロケットジョーンズやチャーチなんかのスエード靴の方がよほど革質はいい。だが、宮城興業の強みは低価格で靴をオーダーメイドできることだ。革の質だけで選択肢から外してしまうのはもったいない。

ES-06シワ

フィッティング

サイズが22~30cmで0.5cm刻み、ウィズがD~Fの6種類(実はB、Cもある)と豊富で、フィッティングなしでは宮城興業は靴を作ってくれない。Web上で取り扱ってる店もあるが、電話でフィッティングの確認をするそう。取扱店にはあらかじめ様々なサイズのサンプルが用意されていて、実際にそれらを履いてフィッティングを確かめることができる。もっとも、私は足が大きいのでサンプルを取り寄せる必要があり、ここで1週間かかった。

左右違うラストで作ってもらうことができるので、左右非対称の足でも安心だ。更に乗せ甲もしてくれるので細かい調整が可能。私は左右とも28.5cmのDウィズを選び、右の小指側に乗せ甲をしてもらった。おかげで左右とも同じ感触で履ける靴に仕上がった。

ちなみに踵は他の日本の靴同様緩い。(私の踵が小さいだけだと思う。)

ES-06インサイド

ソールの選択

ソールはレザーソール、独自の米ぬか入りラバーソール、独自のスタッズソール、クレープソール等から選択できる。トップピースもラバーの他にオプソンでラスターやダブテイルも選べる。今回は独自のスタッズソール「タフスタッズ」を選択。ヒールはそのままだと再生素材のブロック+トップピースになるが、オプションで吟積みにしてもらった。確か800円程度。

もちろんウェルトの色やコバの形も選べる。レザーソールであれば平、爪、丸、フマズ丸、ヤハズ等が選べるし、出し縫いの糸も選ぶことができる。オプションでフルウェルトのいかつい靴も作れる。今回は靴と同じダークブラウンのウェルトや糸を選択。出し縫いの上からウェールで目付けしてもらった。

他にもオプションでヒールを高くしたりもできるはず。

ES-06ヒール

完成した靴はスエードとラバーソールの柔らかさのおかげで、とても足馴染みのいい一足に仕上がっている。ES-06はカウンターのないスッキリとしたデザインで、ヒールカップはドッグイヤーになっている。

ディテールの決定

他にもインソールのデザイン、カラーや、ライニングのカラーを選択できる。今回は全くロゴのないシンプルなインソールで、色はダークブラウンにした。シューレースも同じくブラウン。要するにすべて無難な落ち着いた組み合わせにした。

シューキーパーやシューバッグをオプションでつけることもできるが、今回はなしにした。

ES-06上から

納品まで4~5週間

ビスポークの靴とは違い、あっという間に完成するのも嬉しい。スエードは秋冬のイメージが強いが、最近は夏でも履かれるようになってきたし、そもそも雨に強いので梅雨や台風の時期に活躍する。この時期にこういう靴が欲しい!と思ったらそのちょっと前に頼めばいいのでとても気軽。

ES-06彦

最後に

自分オリジナルの一足が作れるというのは非常に楽しい。ディテールにこだわる日本人にとってはぴったりのシステムだ。それにフィッティングも微調整がきくので足の健康にもいい。グッドイヤーウェルトの靴は長く履けるので費用対効果も高い。この靴はしめて3.6万円だったので、英国製の既製靴なんかよりよほど投資しやすい。日本では靴が蔑ろにされることが多いが、宮城興業のような低価格帯のオーダーシューズが普及することでその風潮が変わっていくことを期待している。