レザーソールとラバーソールはどちらを選ぶべきか。

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レザーソールかラバーソールか、議論に決着がつかないのはそれぞれ良し悪しがあるから。すごく当たり前のことを言うと、状況に合わせて使い分ければいいと思う。

概要

靴の底材(アウトソール)は2種類に大別される。一つは革で出来たレザーソール、もう一つはゴムでできたラバーソールだ。安価な靴にはラバーソールを使うのが一般的だが、高級靴ではレザーソールを採用しているものが多い。

当然、レザーソールの方が昔からあるわけで、伝統的でフォーマルだとされている。一方、科学の結晶であるラバーソールは安価な上、多様性に富む。

どちらがいいのか結論を出すのは急がずに、まずはそれぞれのメリット・デメリットを比較したい。

レザーソールのメリット・デメリット

まずはレザーソールから。レザーソールは、雄牛の革であるステアハイドや、雌牛の革であるカウハイドが原料。固く分厚い革を大きめに切って靴の底に張り付け(縫い付け)、はみ出た部分を切り取ることで作られる。

メリットはかっこよさ、吸湿性

レザーソールの良さは何といっても見た目。そして自然素材ならではの機能性。

見た目が良い

レザーソールの最大の良さは見た目の良さだろう。底までレザーだとアッパーとの一体感が出る。コバに色が入れられるのでピシッと色が揃う。

それに、レザーソールは薄いので瀟洒に見える。ラバーソールの中でも紳士靴向けとされるダイナイトソールでだいたい厚さ8mmだが、対してレザーソールは5mm程度しかない。婦人靴やよりフォーマルな靴では3mmぐらいで仕上げることもある。コバは靴全体のイメージを大きく左右するので、この数ミリの差は無視できない。レザーソールにはシンプルイズベストを地で行く良さがある。

それに、カラス仕上げ・半カラス仕上げのように色を塗ったり、彫刻のようなディテールを入れたりすることもできる。ヒドゥンチャネルのように縫い目を表に出さないやり方もレザーソールならではだ。こういった装飾は履いているうちに削れてはいくものの、高い満足感を与えてくれる。

音がいい

それに、歩いた時の音もいい。ラバーソールは音がしなかったり、キュッキュッといういかにもゴムの音がしたりするが、レザーソールはカツカツと小気味よい音がする。

ただしわざとらしく音を立てるのは周りからするとうるさいだけなので注意。

耐熱性

なにしろ熱に強い。ゴムのように溶けてしまうことはない。真夏のアスファルトの上でも安心だ。

そして経年劣化しづらい。ケア不足による乾燥で割れてしまうようなことはあるが、ポリウレタンの加水分解のような、避けられない運命ではない。

吸湿性

個人的にはそんなに違うのかよくわからないが、一般にはレザーソールの方が通気性や吸湿性が高いとされる。

伝統的

伝統的というのは馬鹿にできない。「伝統」こそがフォーマルな印象を与えてくれる。

また、レザーソールの靴はハンドソーン製法を採用することが少なくない。文字通り手作業(ハンドソーン=手縫い)でしか作ることができない伝統的な製法だが、足馴染みがよく、機械で縫うグッドイヤーウェルト製法より柔らかい仕上がりになるのが特徴だ。ラバーソールでハンドソーン製法ができないわけではないが、一般的ではない。レザーソールのハンドソーンは高級靴ならでは、と言っていい作りだろう。

ちなみに、というかもちろん、ハンドソーン製法の靴はお高いのが難点。

レザーソールのデメリットはメンテナンス性

レザーソールのデメリットはやはり革であるということ。

滑りやすい

慣れてしまうと何が滑りやすいのか分からなくなるが、確かに初めてレザーソールの靴を履いた時はツルツル滑った思い出がある。しっかり上から体重を乗せて歩かないといけない。特に雨の日は注意が必要で、階段を上り下りするときは手すりに手が届くところを歩いた方が安心だ。

ハーフラバーで弱点を克服できるが、見た目が悪くなるという欠点もある。詳細は過去の記事参照。

レザーソールにハーフラバーは張るべきか。
「張りたい靴には張るし、張りたくない靴には張らない。」「というか好きにすればいい。」が私の考え。

すり減りやすい

ゴムよりもすり減りやすい。アスファルトの上を歩くと、結構なスピードで底が薄くなっていく。特に履き始めは革が固いため、歩き方によってはつま先がすごい勢いでえぐられていく。自分の場合、レザーソールの靴にはトゥスチールを必ずつけてすり減り対策をしている。トゥスチールも過去に記事を書いている。

レザーソールにトゥスチールは取り付けるべきか。
ハーフラバーに続き、永遠に論争が続くであろうトゥスチール。でもやっぱり「好きにすればいい。」が結論。

他に、ハーフラバーを張ってすり減りを対策することもできる。すり減ったらハーフラバーだけ交換することでオールソールまでの期間を延ばすこともできる。ただ、これは内部に汚れが蓄積するという意見もある。

ちなみに、ラバーソールに比べてどれぐらいレザーソールがすり減りやすいかはなんとも表現しがたい。ラバーソールは種類によって形状や硬さが全然異なるからだ。

水がしみこむ

次に濡れてしまうこともデメリットだ。小雨程度でも水がしみこみ、家に帰るころには靴底が真っ黒になる。レザーソールは濡れるとすり減りやすくなるし、ちゃんとケアしないとカビや型崩れの原因にもなってしまう。乾くのにも結構時間がかかるので、一度濡らすと次に履けるようになるまで待つことになる。靴のレパートリーが少ないとちょっと困る。

対策するのであれば、ハーフラバーを張ると濡れをかなり抑えることができる。ヒドゥンチャネルが雨対策になるという説もあるが、こっちは気のせいだろう。

固い

レザーソールは何かにつけて固い。まず履き初めが固い。履き下ろす前のレザーソールはそれこそ木の板並みの固さがある。履いていくことで徐々に馴染み、持ち主の歩き方に合わせた柔らかさを獲得していくが、それでもなおクッション性の高いラバーソールに比べると断然に固い。地面の感触が足の裏に伝わってくるのは楽しいし、その固さに慣れてしまえばなんてことはないが、初めて履く人には衝撃かもしれない。

うるさい

レザーソールの音が嫌いだという人もいる。更にトゥスチールをつけていると金属音がすることもあって、耳障りに感じる人も多い。

高価

高価であることも無視できない。大量生産可能なラバーソールに比べると、鞣しや加工に時間のかかるレザーソールはどうしても値段が張ってしまう。ここまで挙げてきた弱点をトゥスチールやハーフラバーでカバーするにしても、それはそれで費用が発生する。

逆に、高価なものを所有することで満足感は得られるとかなんとか。

ラバーソールのメリット・デメリット

次にラバーソールの特徴を見ていきたい。簡単に言えばレザーソールのメリット・デメリットを逆転させればいい。

メリットは価格とメンテナンス性、そして多様性

多様なデザイン

ビジネス向けの薄いソール、カントリー向けのグリップ力のあるソール、マウンテン向けのごついソール、カジュアルな面白いソール、スポーツ向けの特殊なソール…用途に合わせて様々な形状が存在するのがラバーソールの一番の魅力。

素材も多岐にわたる。硬さを重視したもの、クッション性を重視したもの、見た目を重視したもの。間に空気の層を挟み込むなど、ゴムの域を超えたソールもある。

そういった多彩なデザインは多様な機能性を生み出す。これこそラバーソールの見せ場だろう。といっても、あまりにも土俵が違うものでは比較にならないので、ここではビジネス向けのラバーソールをイメージしていきたい。

滑りにくい

ラバーソールの機能的なメリットとして滑りにくいことがあげられる。もともとゴムの抵抗が大きいことに加え、ソールにパターンを刻むことでレザーソールにはない高いグリップ力を手に入れている。

すり減りにくい

これはゴムの成分にもよるが、一般にビジネス用のラバーソールは硬い素材でできていてすり減りにくい。返りがいいという特徴と相まって、トゥスチールをつけなくても履きおろしでつま先が削れ過ぎるなんてことはない。

水がしみこまない

これはラバーソールの大きな利点だろう。水がしみこまないということは雨の日でも靴の中が濡れないし、濡れた靴のケアの手間も減らせるし、靴の長寿命化に寄与するし、雨の日でも滑りづらくなる。

柔らかい

クッション性が高い。そして返りがいい。まるで木の板であるレザーソールと違って、最初からほどよくしなるので、最初から気持ちよく歩き出せる。

静か

メリットとデメリットのはざまにある点かもしれないが、ラバーソールは音が立ちにくい。

安価

最初買う時はそこまで意識しないかもしれないが、オールソールするときはレザーソールよりラバーソールの方があからさまに低価格だったりする。

ラバーソールのデメリットは見た目

最後にラバーソールのデメリット。

カジュアル

レザーソールよりはカジュアルな印象を与える。ただ、どの程度カジュアルかはソールのデザインに大きく左右される。レザーソールに近いデザインであれば、それほど神経質になる必要はない。

想像してほしい。ダイナイトソールのキャップトゥとレザーソールのフルブローグ、よりカジュアルなのはフルブローグだろう。ソールが与えるインパクトは小さい。

安っぽい

デザインがカジュアルになりがちなのがラバーソールの欠点。厚みがあるのでコバがカジュアルに見える。コバの色がウェルトとソールで揃わないのもよろしくない。

薄いラバーソールも存在するが、スポーツユースだろう。ビジネスユースではなかなか見ない。

音がいまいち

無音。もしくはキュッキュという音がする。前者はまだしも、後者は正直かっこ悪い。バッシュを履いてバスケでもしているならいいが、ビジネスシーンではそぐわない音だ。

熱に弱い

これも材質によるところはあるが、熱に弱いと真夏のアスファルトでソールが溶けてしまうこともる。かといって土の上を歩くのも汚れの原因になる。ラバーソールであればせめて日陰を歩きたい。

吸湿性がない

個人的にはどれくらい寄与するか疑問だが、吸湿性が悪くなるといわれている。

どちらがいいソールか。

レザーソールとラバーソール、どちらもいいものである。それぞれ良さがある。方向性が違う。そこに優劣をつけることが間違いと言ってもいい。

だから、用途に合わせて使い分けるのがスマートじゃなかろうか。自分の場合、晴れの日用の靴はレザーソール、雨の日用の靴はラバーソールと使い分けることにしている。更に晴れの日用のうち、あまりフォーマルではないものにはハーフラバーを張っている。晴雨兼用にできるし、にわか雨対策にもなる。ただし、例外として、オールデンの靴はハーフラバーを張っていない。コードバンを濡らしたくないので、突然雨が降るかもしれないシーズンにはそもそも履かないからだ。

ソールの材質に拘るよりも、アッパーのケアやヒールリフトの定期的な交換に神経を注いだ方がマシである。

どっちでもいい。どっちもいい。

深いことを考えるよりも、まずは履き比べてみればいい。どうせソールはオールソールで付け替えることができるのだ。なんなら両方比べてみてから次のオールソールで結論を出してもいいだろう。それができるのが本格靴の魅力なのだから。