レザーソールにハーフラバーは張るべきか。

ハーフラバーの是非は感覚によるところが大きいので絶対に決着はつかないテーマだけど、「張りたい靴には張るし、張りたくない靴には張らない。」「というか好きにすればいい。」が私の考え。

ハーフラバーとは。

ハーフラバーとは、レザーソールの前半分に張る、厚さ数mmのゴムのこと。レザーソールをハーフラバーの厚さだけ削って平滑にして、ハーフラバーを張ったらコバ周りを綺麗に整える。修理代は店によって異なるけど、税抜2,000~3,000円ぐらいが相場。(たまたまなのか、トゥスチール代とあわせて6,000円になる店が多い気がする。)

なぜ金を出してまでわざわざそんなものを張るのかというと、メリットがあるからである。

ハーフラバーを張るメリット

「ハーフラバー肯定派」の意見をまとめた。

  • 摩耗しづらい(ソールの長寿化)
  • ラバーだけ張り替えられる(これもソールの長寿化)
  • 水が染み込まないので乾かすのが楽
  • カビが生えづらい
  • 滑りづらい

要するに、ラバーソールのいいところがレザーソールにオンされ、オールソールせずにラバーだけ張り替えることでそのメリットを長く享受できるのがハーフラバーの強み。どれも特に説明不要というか、容易に理解できるメリットだろう。

ハーフラバーを張るデメリット

もちろんデメリットがあるから張らない人もいる。よく言われるデメリットをまとめてみた。

  • レザーソールの感覚・履き心地が楽しめない
  • 歩いている時の音が変わる
  • 返りが悪くなる
  • 見た目が悪い
  • せっかくのレザーソールがもったいない
  • 内側に汗がたまる
  • 蒸れやすい

この7つにだいたいの「反ハーフラバー派」の意見は収まるだろう。(オレオロジー調べ)

デメリットの分析

先に挙げたデメリットを順番に見て行きたい。

まず「レザーソールの感覚・履き心地が楽しめない」と「歩いている時の音が変わる」の2つは否定できない。ラバーを張るのだから確かに変わってしまう。レザーソールそのものを楽しみたい人間にとって、ハーフラバーは大きなデメリットになる。次の「返りが悪くなる」もそれほど極端ではないが多少はハーフラバーによる影響があるように感じる。この3つはそう思う人にとっては確かなデメリットだ。

次の「見た目が悪い」と「せっかくのレザーソールがもったいない」は感覚的なものなので、人によってはデメリットとは感じないだろう。私個人としては前者は共感できる。レザーソールそのままの方がかっこいいと、単純に思う。一方で、後者はそうは思わない。もともとソールは消耗品なので、もったいないと言ってしまうと極端に言えば靴そのものを履けなくなってしまう。それにハーフラバーを何度も張り替えることで、どちらかと言えば元々のレザーソール自体は長寿命化する。もったいないどころか大事にすることができるのだ。もちろん、「もったいない」と言うのは寿命のことだけを言っているわけではない。せっかく靴職人が綺麗に作ってくれたのだから履く以外の理由で壊したくない!ということもあるだろう。それは大いに同意できる。寿命以外の理由で「もったいない」と思うのであればレザーソールを大事にするべきだろう。

その次の「内側に汗が溜まる」は正直よく分からない。アウトソール内に溜まった汗が原因で靴が使い物にならなくなったという話はなかなか耳にしないが、何回も張り替えられるハーフラバーの場合、確かに汗は着実に溜まりそうだ。だとしてもオールソールすれば溜まった汗ともサヨナラできるので、汗が溜まるのが本当だとしても私はそんなに気にしない。

最後の「蒸れやすい」は、かなり怪しい。私自身は感じたことがない。レザーソールは「通気性がいい」とよく言われるが、これは日本語的に誤解を招く。「吸湿性がある」と言った方が正しい。「通気性」とは空気を通す性質のことだが、牛革の靴を履いていて足が外気に触れる経験をされたことがあるだろうか。そうだとしたらそれは靴に穴が空いていることになる…(ちなみに豚革であれば毛穴が貫通しているので穴が空いている)。

レザーソールが汗を吸収し、湿度を下げて快適に保ってくれるのは、革に水分を吸収する「吸湿性」があるからだ。そして革靴に吸収された汗の水分は、靴を脱いだ後にインソール側から蒸発していく。もし履きながらにしてアウトソール側から蒸発していくのだとすると、汗がソール内を貫通してアウトソール側から蒸気になって出て行っているということになる。

インソールからコルクの層を抜けて分厚いアウトソールを抜けて…もちろんそれがゼロだとは言わないが、レザーソールが内側からの汗で湿っているのは見たことがないし、レザーソールでも靴を脱いだ後はインソール側から水分が蒸発していることを考えると、レザーソールであってもインソール側からの蒸発が支配的なのは明らか。

もちろん、アウトソール側から蒸発する水分量を測定しなければ本当のことは言えない。定性的な分析だけで結論に持っていくのはよくないが、ハーフラバーを張ったぐらいで靴を履いている最中に蒸発する水分量が大きく減る、すなわち大きく蒸れやすくなるというのは経験則からしてちょっと考えづらい。あったとしてもごく僅か。と言っていいだろう。

7つのデメリットを分析した結果、「ハーフラバーを張るの感覚的に嫌だ」というのがデメリットの大半を占めていることが分かった(or 私はそう理解している)。

では、ハーフラバーは張るべきか。

ハーフラバーのデメリットは感覚的なものが大半を占めるからといって、それを無視していいとは全く思わない。むしろ、最も尊重すべき部分だ。ハーフラバーの機能だけに着目して「必ず付けるべき」と主張するのは情緒がない。だから「張りたい靴には張るし、張りたくない靴には張らない。」…これが私なりの結論・持論。もう少し具体的に言えば「雨の日に履く(履きたい)靴」や「長時間歩く日に履く(履きたい)靴」はラバーソールやハーフラバーにするし、「レザーソールの良さを生かしたい靴」や「フォーマルシーン用の靴」はレザーソールのままにしてハーフラバーは張らない。UNION WORKSの中川さんは「道具靴には張る、勝負靴には張らない。」と仰っていたが、まったく同意見だ。

話が少し逸れるが、UNION WORKSではただのゴム板ではないデザイン性のあるハーフラバーを用意していて、「ハーフラバー張ってソールをかっこ良くする」ということも選択肢に入れられるようにしている。ただし少し高い。

最初から張るか、途中から張るか。

これも趣味の問題だと思うが、私は最初から張る派。私は靴のつま先が削れやすい歩き方をしているようなので、ある程度履いてからだとつま先の修理が必要になってしまう。修理代もかかるし、見栄えも悪いので、最初からハーフラバーを張ることにしている。ちなみに私の場合、ハーフラバーを張ってもつま先が結構な勢いで削れていくので、ハーフラバーを張る時は必ずトゥスチールも付けることにしている。つま先の保護は大切だ。

この「靴を買ってすぐにハーフラバーとトゥスチールを同時に取り付けること」にはひとつメリットがある。それはレザーソールを削らなくていいということだ。ハーフラバーのおかげでソール全体が高くなるので、レザーソールを削らずにトゥスチールを取り付けることができる。その代わりコバが少し厚くなるので、それが嫌なら結局削ってもらった方がいいわけだけども。

ちなみに、ある程度レザーソールが削れてからハーフラバーを張っても(ゴムの継ぎ足しがなければ)修理代が高くなるわけでもないし、綺麗に仕上がらなくなるわけでもない。レザーソールを楽しみつつ、十分に返りがついたら「君はこれから道具靴として生きてくれ」と修理屋に持ち込むのもアリだろう。

要するに好きにすればいい。

靴を買った時点でそれは所有者のものだ。そのまま履くもカスタマイズするも所有者の自由だろう。街中でメンテナンス行き届いていない靴を見ると「ああ!」と思うことも多々あるが、だとしても結局は本人の自由。数mmのゴム板ぐらい、好きにすればいい。人に迷惑をかけるわけではないのだから、周りを気にせず好きにした方が靴を楽しめるだろう。

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